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伝説のエフェクター!無骨な相棒、その名は「TONE BENDER(トーンベンダー)」! 

伝説のエフェクター!無骨な相棒、その名は「TONE BENDER(トーンベンダー)」! 

エフェクター紹介

1960年代後期〜70年のブリティッシュロックのギターサウンドを支えたエフェクターといえば、まず「TONE BENDER(トーンベンダー)」が浮かびます。
ビートルズ中期、ミック・ロンソンヤードバーズのころのジェフベック、ピート・タウンゼント等々、古き良き時代の、独特の垢抜けないパワフルでノイジーな独特の歪みは最近のモード系と言われるエフェクターとは一線を画すエフェクター、TONE BENDERをご紹介します!

TONE BENDER(トーンベンダー)とは?

一概にTONE BENDERと言っても70年になると無数のモデルがいくつかのメーカーから発売されます。
その原点となったTONE BENDER Mk1とその後継機種についてご紹介しようと思います。
1960年代中期、イギリスのアンプメーカー「ハイワット」の修理工房の主任だったゲイリーハーストが、マエストロ社製のFUZZを研究し改良し制作したのがTONE BENDERの大元となるFUZZでした、試作品は木製のケースだったそうです。
因みにマエストロ製のFUZZは『FUZZ TONE』という名前で、有名なところではローリングストーンズのサティスファクション等で聞くことが出来ます。


その後、独立して発売したのが「TONE BENDER Mk1」でした1965年、スティーブ・ウィンウッド、ジェフ・ベック等が愛用しています。
これは回路にゲルマニウム トランジスタ(天然の鉱石)を使用しています。
お手本にしたマエストロ製の「FUZZ TONE」が「ゲルマニウム トランジスタ」を使用していた為、それを踏襲したのだそうです。

このMk1はイギリス初の歪みのエフェクターでしたが、初といえば現在定番になっているトゥルーバイパス仕様もこのエフェクターからです。
その後、約半年で改良版Mk1.5を発売しますが、またその3か月後にMk2が発売、Mk1.5とMk2の違いはゲルマニウム トランジスタの数です。
Mk1.5は2つ、Mk2は増幅回路を付け足して3つ使っています。(近年のJMIのMk2は増幅のレベルを調節する機能がケース中にあります)その後発売されたMk3は品質も安定し、多くのOEM商品を生み出したことでも知られています。

Mk1.5を使用しているアーティストで有名なのはビートルズのジョージ・ハリスン、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー。ポール・マッカートニーはMk1をベースギターでも使用しています。ビートルズ中期のアルバム「ラバーソウル」でそのサウンドを聞くことができます。

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ユニバーサル ミュージック (e)

Mk2を使用していたので有名なのギタリストはジミー・ペイジですね。

このハンドワイヤーのエフェクターは60~70年代ブリティッシュロックに欠かせないものになりました。

TONE BENDER(トーンベンダー)使用感

以下は実際再現されたJMIのTONE BENDERを使った上での感想です。
JMIはゲイリーハースト本人が監修しています。
TONE BENDER Mk1.5 Mk2は、ゲルマニウム トランジスタを使用することによって、図太くて独特の潔いジャキーンという歪みを生みますが、その反面湿度、気温、天候に左右されやすく、基準が取りづらいといったデメリットがあります。
同じような気温、湿度、天候で同じセッティングをしても、音が全く違う、ということが起こってしまいますし、使うアンプでもかなりニュアンスが変わってくるようです。

そしてもうひとつ、セッティングが噛み合ってから、真空管のように温まるまで、と言うよりもドライブし始めてサウンドが乗ってくるまで時間がかかります。まるで生き物のようですね。
それと電池しか使えない(当時はAC電源のエフェクターはありませんでした)ノイズ多め、軽いけど大きいので(ワウペダルくらいあります)エフェクターボードで場所を取るなどなど、デメリットは数え切れないほど挙げられます(笑)

TONE BENDER(トーンベンダー)のここがすごい!

ここまでは散々デメリットばかりを書きましたが、TONE BENDERの真の魅力はここからです。

まずはバツグンな存在感、そして見た目のカッコよさ
Mk1.5はボテっとした丸みを帯びた古いアメ車のようなボディに黒一色でプリントされた文字、Mk2は角ばったボディに鈍いゴールド、サイド、バックは黒。
どちらもToneとLevelのつまみとフットスイッチのみという潔いと言うか無骨な佇まい。
前記しましたがVoxのワウペダルよりちょっと大きいサイズでエフェクターボードに組み込もうとすると一苦労ですが存在感は凄まじいものがあります。
まさにエフェクター界のドン、と呼ぶにふさわしい出で立ちです。

そして何より、音の存在感、図太さ分厚さ。ノイジーな厄介者ですが、それを凌駕するかっこよさと音の存在感は近年のモード系のハイファイなエフェクターとは一線を画すと言って良いでしょう。

音痩せも気になりますが、やや小さめの15Wくらいのフルチューブアンプでやや大きめの音でトーンベンダーとワウペダルだけで中期後期のビートルズの曲を演奏してみると最高に気持ちいいです。
せっかくならビンテージのVox AC-30 オレンジのビンテージヘッドあたりでガンガン鳴らしたいところです。
昔懐かしい軽く乗るノイズ感と乗ってきたらガツンと自己主張して、時々手に負えなくなるサウンドは当時のブリティッシュのギタリストの感覚が伝わってきます、

まさに伝説と呼ぶにふさわしいエフェクターです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。現実的には現在オリジナルのTONE BENDERを入手するのは難しいと思いますが、そのDNAはその後に登場した様々なエフェクターに取り入れられており、レプリカも数多く発売されています。
「〇〇 BENDER」と名付けられたFUZZであれば、そのDNAを受け継いでいると追って間違いないと思います。
一度その子孫たちを集めて弾き比べをしてみても面白いのではないでしょうか。

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