【エフェクター入門】オーバードライブ編
2020.05.08 エフェクター入門ギターを始めたばかりの人が初めて欲しくなる機材と言えば歪み系エフェクターなのではないでしょうか?
その中でもオーバードライブは入門機であり定番機でもあります。それ故に種類も多く、こだわり始めるときりがないかもしれません。ここではオーバードライブの成り立ちから定番のモデル、名機と呼ばれるモデルまで紹介していきたいと思います。
オーバードライブとは?
overdriveは日本語に訳すと「酷使」「過負荷」という意味になります。1960年代頃のまだ楽器演奏に「歪み」という概念が無かったころ、ギターはクリーントーンで弾くのが当たり前でした。
ところが、真空管アンプの音量を上げすぎたときに出る歪んだ音に注目した人たちがいました。この歪みというのは、アンプの回路の性能の問題で過度な出力をすると、ある一定の時点で飽和状態になり、その時に出る音のことです。以下の図で詳しく解説していきます。
まず、音の信号は以下のような波形になります。縦のメモリの高さが音量だと思ってください。(振幅とも言います)この高さが高いほど大きい音になります。
図1.音の出力信号
音量を上げていくとメモリの高さがどんどん上がっていきます。そして、ある一定の高さ(A点)を超えるとこれ以上増えない(飽和)状態になります。
図2.音の出力信号(飽和状態)
この平らになってしまった部分こそが「歪み」の要素になっているのです。アンプを酷使(オーバードライブ)していくとこのように音が飽和し歪んだサウンドを出すことができます。
この歪みサウンドを好んで使うようになり、もっと手軽に作り出せるようにと開発されたのが歪み系エフェクターです。
(※ちなみにこの波形を意図的に切り取って平らにすることをクリッピングと言います。)
ディストーション、ファズとの違い
オーバードライブの他にも歪み系エフェクターの種類としてディストーションやファズというものがありますね。一般的には歪みの強さで「オーバードライブ < ディストーション < ファズ」と認識されています。
しかしこの3つはどれも歪む原理は同じであり、明確な線引きがあるわけではありません。つまり製作者のさじ加減で、これはオーバードライブ、と言われたらオーバードライブになるのです。
そして、世の中にはオーバードライブとして出されていてもディストーションのように歪むものや、逆にディストーションやファズとして売られているのにあまり歪まない、というものもあります。なので、もし歪み系のエフェクターを買う場合には必ずその製品の音を聞いて納得してから買うことを推奨します。今はわざわざ楽器屋で試奏しなくても、ほとんどのモデルをYouTubeなどで試聴することができます。もちろん自分の持っている楽器につなげて直接聴いてみるのが一番良いですが、楽器屋で試奏するのが恥ずかしいという方はこちらの方法をおすすめします!
初心者おすすめオーバードライブ
BOSS / Blues Driver BD-2W
誰もが知っている超有名エフェクターブランドですね。その中でも自分的にはブルースドライバーが一番目にする機会が多い気がします。ギタリストは全員一度はこのエフェクターを通っているんじゃないかなと思っています(勝手に)。実際に私も初めて使ったのがブルースドライバーでした!
このオーバードライブ、なんといっても歪みの強さが気持ち良いです。中音域が強いので全体的には落ち着いたトーンなのですが、ゲインをあげたときの歪みが強く「これこれ!」という音がします。BOSSは他にもOverDrive(OD系)、SuperDrive(SD系)の2タイプのモデルを出しているのでぜひ聞き比べて好みのものを入手してほしいです。多くの人が使っているからこそ信頼性も高いですし、初めての人が買って絶対に間違いのないブランドです!
余談ですが、BOSSのOverDrive(OD-1)は世界で初めて登場したオーバードライブ・エフェクターです。1977年に発売され80年に生産終了してしまいましたがそのサウンドの良さから今でもビンテージものとして取引されています。後継機となるモデルもいくつかあり、その中でもSD-1は、値段も手頃で手に入れやすく、入門機としてはおすすめの機種です。
中・上級者おすすめオーバードライブ
Suhr / Shiba Drive Reloaded
Suhr(サー)はアメリカのハイエンドなギターブランドで、どの製品も高品質なことで有名です。そのSuhrが出しているオーバードライブ・ペダルがShiba Driveです。2009年に発売されてから4年後にゲインアップしたShiba Drive Reloadedが発売されました。
既に歪ませたアンプとの相性が良く、バッキングからブーストさせてソロに切り替えるときなどに使うと良いです。特にチョーキングをした時の音がShiba Driveを使うのと使わないのとで全然違います。トップの音がぐっと持ち上げられてキレイに伸びるので聴いているだけでとても気持ち良いです。歪み自体もしっかり出るので非常におすすめなエフェクターです。
他にもEclipseというオーバードライブとディストーションがそれぞれ独立したチャンネルで1つのボックスに収まったSuhrのモデルもあります。この1台で歪みとブースターそれぞれ用意しなくても完結してしまいます。ゲインのタイプも幅広く調整可能なのでとてもおススメです!
まとめ
【エフェクター入門】オーバードライブ編、いかがだったでしょうか。まさにエフェクターの原点とも言えるオーバードライブ。オーバードライブのことをよりよく知り、使いこなしていきましょう!