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進化を続けるファズの代名詞、BIG MUFF(ビッグマフ)特集

エフェクター紹介

1969年にアメリカのELECTRO-HARMONIX(エレクトロ・ハーモニクス社)からプロトタイプとして登場したビッグマフ。
ジミ・ヘンドリックスがこのプロトタイプを愛用していたということで有名です。
その後、正式名称を「BIG MUFF Pi(π)」として完成版が発売されました。

以来、数多くのモデルチェンジを経て現代まで最も愛用されているエフェクターの1つとして大きな存在感を放っています。
3大ヴィンテージファズの一つにも数えられたりしますが、その歪みの幅はファズだけに留まらず多くの人を魅了しています。
今回はそんなビッグマフの歴史を紐解きながら、歴代モデルについて紹介していきます。

Big Muff (Triangle Knob)

最初期に登場したモデルです。3つのノブ(VOLUME、SUSTAIN、TONE)の配置が三角形になっていることから通称「トライアングル」と呼ばれています。
71年型はビッグマフモデルの中でも上位の重くて荒々しいサウンドが特徴ですが、72年型は比較的なめらかでややディストーションよりなサウンドとなっています。

リイシューモデル “TRIANGLE BIG MUFF Pi”

TRIANGLE BIG MUFF π

初期の回路そのままの復刻版としてエレクトロ・ハーモニクス社の創業50周年を記念して作られたものです。
オリジナルと近いカラーリングで塗装が施され、コンパクトなボディに収められています。
初期のトライアングルではバイパスモードでの音質劣化が目立ちますが(それもまた味ですが)、この復刻モデルではトゥルーバイパスを採用しており、バイパス時の音質を維持できます。

Big Muff Pi (Ram’s Head)

70年代半ばに登場した第2期のモデルです。
筐体の右下あたりに「羊の頭」のようなイラストがあることから、「ラムズ・ヘッド」と呼ばれています。

バリバリした粗さを感じるサウンドですがその分伸びもあり、バンドサウンドでも埋もれない芯の強さを残しています。
リードで使いたいエフェクターと言えるでしょう。初期のトライアングルと比べて音域幅が広く、トーンの調節によって荒々しさとマイルドさのどちらも引き出すことができます。
ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアなども使用していました。

リイシューモデル “Ram’s Head Big Muff Pi”

Ram's Head Big Muff Pi
ラムズヘッドの由来になった筐体右下のロゴは健在です。
こちらもトライアングルの復刻版と同様にオリジナルと近いカラーリングでコンパクトなnanoサイズに収められています。
トゥルーバイパスやLEDなどの現代的な機能も追加されています。

Big Muff Pi (3rd Version)

70年代半ば~80年代半ば頃に登場した第3期のモデルです。

トーンがこれまでと違い「左に回すと低域、右に回すと高域」と現代のエフェクターのように扱いやすい設計になっています。ラムズヘッドほどではないですが音域も幅広いので、ディストーションとしてもファズとしても使用できます。特に高音域が強くエッジの効いたサウンドが特徴で、全体的にバランスの良い厚みがあります。

リイシューモデル “Big Muff Pi”

Big Muff Pi
第3期「3rd Version」のデザインを踏襲した現代版のビッグマフ。回路としては第2期以前のモデルに近いそうです。
こちらもトゥルーバイパス、LED機能などが搭載されノイズを抑えた完成形に近いビッグマフ・エフェクターです。
ジョン・フルシアンテなども所有しています。

これらのモデルの発売後、エレクトロ・ハーモニクス社は倒産してしまいます。
しかしその後、創業者のマイク・マシューズはロシアに渡り、新たにSOVTEK(ソブテック)という会社を設立しました。
90年代ではこのSOVTEKから、これまでのモデルとは大きく異なるデザインで新たにビッグマフのモデルが誕生しました。これらはロシアンマフとも呼ばれています。

Big Muff Pi (Civil War)

90年代初期にSOVTEKから登場したビッグマフです。
「シビルウォー」という呼び方の由来はアメリカの南北戦争から来ているそうで、筐体の配色である紺とグレーをそれぞれ北軍、南軍に見立ててそう呼ばれ始めました。市場にはめったに出回らない希少なモデルです。
これまでSUSTAIN表記だったノブがDISTORTIONになっており、サウンド的にもディストーションに近い歪みになります。
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのジョン・フォガティなども使用していました。

Big Muff Pi (Army Green)

90年代半ば頃に登場したビッグマフです。印象的な緑が戦車のように見えることからアーミー・グリーンと呼ばれ始めました。
ロシア期を代表するビッグマフとも言われるこのモデルの最大の特徴は低域の強さにあります。ズドンと来る重みと荒々しいサウンドながら、ディストーションのような乾いた歪みも備え、その使い勝手の良さから根強い人気を誇ります。ベース用のビッグマフはこのモデルを期に作られたと言われています。
Weezerのスコット・シュライナーもベーシストですが所有しています。

リイシューモデル “Green Russian Big Muff”

Green Russian Big Muff
アーミー・グリーンの根強い人気から、nanoサイズとなり復刻を果たしたモデルです。
回路、デザインともに完全にアーミー・グリーンを踏襲しています。

Big Muff Pi (Army Black)

90年代後期に登場し、アーミー・ブラックと呼ばれたSOVTEK最後のモデルです。
ロシアンマフはディストーションとファズの中間くらいの印象を受けますが、このアーミー・ブラックはよりディストーションに近いサウンドに設計されています。
トーンの音域幅も従来よりも抑えられ、より耳に馴染みやすいサウンドになりました。しかしDISTORTION表記だったノブは再びSUSTAINに変更されています。

これらのロシアンマフをリリースした後、マイク・マシューズは再び「エレクトロ・ハーモニクス社」としてニューヨークに本社を置き、その後も様々なエフェクターを開発していきました。
既に紹介した復刻版以外の現行版のビッグマフモデルを紹介していきます。

Nano Big Muff Pi

Nano Big Muff Pi
アメリカ製の第3期のビッグマフを回路はそのままに小型化したものになります。
サウンドもほぼ同じくビッグマフ特有の重厚感がありますが、ナノの方が若干控えめな印象を持つ方が多いです。小型化したことによりエフェクターボードに組み込みやすくなったのが嬉しいところです。
Citizenのニック・ハムなども所有しています。

Little Big Muff Pi

Little Big Muff Pi
元々70年代にも同名のLittle Big Muff πというBIG MUFFを小型化したモデルが作られており、その復刻版ということになります。
小型化と言っても当時のものはノブがVOLUMEとTONEの2つというだけでほとんど大きさは変わらなかったようです。

現代版のものはノブにSUSTAINが加わりました。サウンドはアメリカ製とロシア製の中間に位置し、伸びの良いサウンドはオリジナルを受け継いでいます。
マイケル・ジャクソンや氷室京介など様々なアーティストと共演経験のある世界的なギタリスト、スティーヴ・ステーヴンスなども所有しています。

Deluxe Big Muff Pi

Deluxe Big Muff Pi
ビッグマフのフラッグシップモデルとされています。
音色はアメリカ製のビッグマフを踏襲しており、全ての製品の中で最大の音域幅を持ちます。
コントロールは従来の3つに加えてATTACK、GATEが追加されています。通常のビッグマフはこのアタックが0の状態ですがデラックスではこのアタックを調節することで激しい歪みでも切れのある音を作り出せます。また、サステインを上げるとどうしてもノイズが出てしまいがちですが、ゲートを上げることでノイズをキャンセルすることができます。
さらにMIDブーストペダルとLEVELを使うことで、通常のリフからソロに移る際、アタック感を加えて全体のトーンを変える、ということもできます。とても柔軟なエフェクターですね。
90年代ロシアで製造されたシビル・ウォーモデルのサウンドに、このデラックス・ビッグマフのコントロールを加えたモデルもあります。
Snow Patrolのポール・ウィルソンなども所有しています。

Big Muff Pi with Tone Wicker

Big Muff Pi with Tone Wicker
オリジナルのビッグマフに”TONE”と”WICKER”というスイッチを搭載したモデルです。
TONEスイッチはオフにすると上の3つのコントロールをバイパスでき、迫力のあるサウンドになります。
WICKERスイッチはオンにすると高音域のフィルターを通すことで鋭いサウンドにすることができます。
TONEをオン、WICKERをオフにするとオリジナルのビッグマフサウンドになります。つまりこのスイッチ次第で幅広い音作りができるようになります。
様々なバンドに所属し、音楽プロデューサーや俳優としても活躍しているジャック・ホワイトなども所有しています。

Germanium 4 Big Muff

Germanium 4 Big Muff
ファズエフェクターの個性を左右するトランジスタという部品の中で、一番最初に普及したゲルマニウム・トランジスタという半導体素子があります。このゲルマニウム・トランジスタをそれぞれ2個ずつ搭載したオーバードライブとディストーションを1つのボディに収めたものがこのGermanium 4 Big Muffです。
それぞれ単体で使ったり、同時に組み合わせることもできるため多彩なサウンドを生みだすことができます。
ディストーションに搭載されているVOLTSというのは電池が減ったときの動作を再現したマニアックな機能になっています。
L’Arc-en-Cielのkenなども所有しています。

Op-amp Big Muff Pi

Op-amp Big Muff
実は1970年代後半に登場し、オペアンプ搭載のわずかしか製造されなかったビッグマフがあります。
その希少性から当時膨大な価格で取引されていたことを受け、多くの人に広く行き渡るようにと2017年に復刻したのがオペアンプ・ビッグマフです。

オペアンプとは色々な回路を一つにまとめた「集積回路」というもので、入力された信号を大きく増幅させるなど様々な動作を実現できます。この特性を活かしてコンパクトな筐体にすることができるのです。
現代版として復刻されたオペアンプ・ビッグマフはさらにナノサイズまで小さくなり、トゥルーバイパスなどの機能も搭載されています。
従来のビッグマフの違いとしては、TONE幅が広いことと、そのTONEをカットできるという点です。これにより、太い音やジャリジャリとした荒い音など幅広いサウンドを実現することができます。

ちなみにオリジナルモデルのOp-amp Big Muffは、スマッシング・パンプキンズのアルバム「Siamese Dream」でビリー・コーガンが使用したことによって一躍脚光を浴びたようです。

まとめ

以上が、主なビッグマフのモデルになります。
他にもベースアンプとして開発されたモデルや、ビッグマフを再現した他者製品などがあります。
ビッグマフを追求するとどんどん沼にはまっていってしまうことになるでしょう。かなり奥が深いです。

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