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【エフェクター入門】歪み系エフェクターの違い

エフェクター入門

ギタリストやベーシストが初めてエフェクターを購入する際、真っ先に候補に挙がるのが「歪み系」ではないでしょうか?
歪んだギターソロやバッキング等、音楽における歪みの影響は大きく、その分たくさんの機種が存在しています。

しかし歪み系エフェクターにもオーバードライブやディストーション、ファズ等の分類があり、何を選べば良いか分からない人も多いでしょう。
今回は歪み系エフェクターの違いや使い方について紹介していきます。

歪みエフェクターの始まり

歪みサウンドの始まりは1950年代まで遡ります。ブルースを主体としたギタリスト達が、アンプで大音量を出した際に生じる音割れを活かして楽曲を作ったのが始まりです。
1962年にはアンプの音割れを更に増幅させるファズペダルが作られます。

とは言え音割れサウンドを作るにはアンプのツマミを全て最大にする必要があり、アンプへのダメージは大きいものでした。
その為、アンプのツマミを上げなくても手軽に歪みサウンドが得られるオーバードライブというエフェクターが生まれたのです。

ちなみに初めて制作されたのはBOSSのOD-1でした。そこから様々なエフェクターが生産されていきます。

歪みエフェクターの種類

現在では歪みエフェクターは大きく分けて

  • オーバードライブ
  • ディストーション
  • ファズ

の3種類があります。

オーバードライブは「アンプの過負荷状態」、ディストーションは「歪み」そのもの、ファズは「割れた雑音や音色」と言う意味です。

歪み度合いのイメージは
ファズ>ディストーション>オーバードライブ
という順序が一般的です。
回路等の違いはあるものの、歪ませる原理は実は大体同じです。歪みエフェクターが普及するにつれ、様々なメーカーが生産するようになりました。

その為オーバードライブと銘打っても、ディストーション並みに歪むエフェクターもあります。更には1つのエフェクターでオーバードライブやファズの領域まで対応できるものもありますね。

違いは曖昧でも各メーカーで共通している傾向がありますので、それぞれの特徴を紹介します。

オーバードライブ

3種類の中では最も自然でマイルドな歪みが得られます。ギターでもベースでも用途は広いです。

ギターにおけるオーバードライブ

オーバードライブで出せる歪みとしては大きく歪まない「クランチ」や、限りなく原音を重視したクリアな歪み「トランスペアレント」、キメの細かい歪み「クリーミー」等でしょうか。

コードストロークでも1つ1つの音の芯は残っているので、歪みつつも埋もれない音を作れます。更にはエフェクターを踏みっぱなしにしてバッキング、ここぞと言う時にエフェクターを踏んでソロを弾く事も出来ますね。

安価なものから高価なものまで種類も豊富で、歪み方もそれぞれ違う為、初心者が購入する際に案外難しいのがオーバードライブです。

おススメは安価でスタンダードな歪みが得られるSurfing Bear OverdriveやBOSS Super Over Drive SD-1をおススメします。

ベースにおけるオーバードライブ

ベースをあまり歪ませると音の輪郭がぼやけてしまう為、ギターに比べると音作りが難しくなります。
用途としては踏みっぱなしにして、あえて歪ませて音を馴染ませる、プリアンプ等と組み合わせて音に迫力を持たせる、ここぞと言う時にスイッチを踏んでベースソロに活用する等でしょうか。

おススメはBOSS Bass OverDrive ODB-3です。
日本の老舗メーカーBOSSがベース用に製作したエフェクター。ディストーションのような歪みからスタンダードな歪みまで用途は広いです。

ディストーション

歪ませながらも和音なども聴き取ることは可能なレベルの歪みです。

ギターにおけるディストーション

ギターのストロークも粒が埋もれてしまうものの、その歪み方がグランジ等のジャンルによく合います。また音の伸びの良さを活かしてハンマリング等を組み合わせたギターソロにもぴったりです。
エフェクターの歪みが強い分、アンプはクリーンな音作りをしておきましょう。

おススメはMXR M-104 DISTORTION+です。ディストーションとして世界で初めて製作されたもので、80年代から愛され続けています。オーバードライブからファズのような音も作れる為、応用性も高いです。

ベースにおけるディストーション

ベースの場合、オーバードライブと使い方は大きく変わりないものの、より攻撃的なサウンドを表現しつつ、重低音をキープしたい時に使いましょう。逆にファズまで音がボヤけるとベースとしての役割を果たしにくくなります。

おススメはBass Big Muff Distortion/Sustainerです。ファズで有名なメーカーですが、ディストーション並みの歪みに抑えたものです。ベース用ディストーションと銘打っていても音痩せするものも多いのですが、こちらはしっかりと低音を残した歪みが出ます。ギターにも使え、愛用者も多いです。

ファズ

歴史的には最も古くからある歪みですね。音の芯が無くなるほど非常に強く歪ませるエフェクターになり、上記の2つよりは違いが明確です。

ゲルマニウム・トランジスタ、シリコン・トランジスタという素材を使用したものがファズになります。
ゲルマニウムは鉱物を使用。温度による音の違いが出るものの、中低域が強調されたものです。
シリコン系は人工物を使用しており、ゲルマニウムよりも安定した動作が魅力です。高音域が強調されています。

ギターではギターソロ、轟音ノイズ、シンセサイザー等、より迫力のある音を求める時に使いましょう。構造上常に同じ音が出るわけではないのですが、それが予期せぬ化学反応を引き起こすのがファズの魅力でもあります。

おススメはElectro Harmonix Big Muff Originalというファズの定番がおススメです。こちらは1960年代からあるファズで、今でも絶大な人気を誇ります。

ベースの場合、ここまで歪んでしまうとベース本来の役割を果たしにくくなります。イントロやソロ等、ここぞという時に使用すると良いでしょう。ギターやキーボードが加わると途端に音が埋もれてしまう為、他の楽器を少し抑えてもらう等、バンド全体の調整が必要です。

おススメはelectro-harmonix Bass Big Muff EH3030です。こちらはギターの有名なビッグマフを ベース用にアレンジしたもので、ファズと原音を混ぜる、低音を損なわない等、ベースの本来の役割を維持したままファズを奏でる事が出来ます。

まとめ

今回は歪み系エフェクターの歴史や分類、それぞれの特徴について紹介しました。
沢山の種類のある歪みですが、まずは各楽器での役割や音作りの方法を知っておく事が大事です。機会があれば、各歪みのおススメのエフェクターを紹介していきたいですね。

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